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170はじめに 股関節は他の部位の関節と比較して深部に存在し,器具操作の制限を受けるため,ポータル作製が非常に重要となる.本稿ではポータル作製のコツについて解説する.ポータルの場所と見えるもの 一般的には下肢を牽引した状態で作製する1,2)(図1).1.前外側ポータル(anterolateral portal,ALP) 大転子の頂部より1cm近位2cm前方となっているが,ここを指標として実際には針を透視下に体表上において方向を確認して微調整し刺入する. 針が関節包を貫通した後,注射器を使って空気を入れ関節を広げる.この際,透視をすると関節唇の陰影が淡く見える.針を軽く前後に動かしてみる.もし針が関節唇を貫通しているようであれば,関節唇の陰影が針と一緒に動く.このような場合は針をいったん手前まで引き,関節唇の陰影を貫かないように関節内に刺入する(図2).関節が開きにくい症例は関節内に空気を入れた後にさらに牽引を追加すると関節が開くことがある.2.中前方ポータル(mid-anterior portal,MAP) ALPから挿入した70°斜視鏡を末梢に向ける.上前腸骨棘(anterior superior iliac spine:ASIS)か02股関節鏡のポータル宮本理 Osamu Miyamoto■自治医科大学整形外科病院助教内田宗志 Soshi Uchida■産業医科大学若松病院整形外科診療教授正しい位置に挿入された針関節内に空気が入り関節唇(矢印)の陰影が確認できる.もし点線の方向に針が挿入された場合は,針を前後に動かすと関節唇の陰影が針と一緒に動く.図2各ポータルの名称(左側)MAP,PMAP,ALPの3つのポータルが鏡視時の基本となる.MAP:mid-anterior portalPMAP:proximal mid-anterior portalALP:anterolateral portalDALA:distal anterolateral accessory portalPLP:posterolateral portalAP:anterior portalPALA:proximal anterolateral accessory portalPSP:peritrochanteric space portalASIS:anterosuperior iliac spine(文献2を参考に作成)図1ASISAPPMAPPALADALAPSPMAPALPPLP

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