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3船橋整形外科病院スポーツ医学・関節センター長菅谷啓之 本章では,これから肩関節鏡を始める,もしくは,始めたばかりで手術に難渋している若手医師を対象に,肩関節鏡視下手術の基本中の基本をわかりやすく解説した.セットアップと体位の項では,麻酔の導入から執刀前の準備まで,ビーチチェア位と側臥位の両者について詳細に解説している.さらに,ポータル作製の方法と部位,基本的な後方鏡視,前方鏡視,および肩峰下滑液包鏡視について述べた後,基本的な術式であるSLAP損傷に対する手術,凍結肩に対する手術,反復性肩関節前方脱臼に対する鏡視下Bankart法,後上方型腱板断裂の手術,肩甲下筋腱断裂を含む前上方型腱板断裂の手術,さらに鏡視下鎖骨遠位端切除術であるMumford法について解説した.本書の内容は写真,図を多用し,肩関節鏡視下手術についてのポイントが満載で非常にわかりやすくできている.ただ,本書では述べていないが,肩関節疾患では急性外傷以外でまず手術が適応となるのは反復性肩関節脱臼のみであり,他の疾患は基本的に,しっかりとした機能診断と保存療法が優先される.関節鏡視下手術をマスターするのは極めて重要であるが,手術の成績を左右するのは,手術の適応とタイミングであり,これらは手術の出来栄えよりもむしろ重要なのではないかと私自身は感じている.若手医師の皆様は,本章で肩関節鏡手術の基本をマスターするとともに,肩関節疾患治療において最も大切な外来診療を学ぶことをお勧めする. 本章では,これから肘関節鏡を始める,もしくは,始めたばかりで手術に難渋している若手医師を対象に,肘関節鏡視下手術の基本中の基本をわかりやすく解説した.セットアップと体位の項では,麻酔の導入から執刀前の準備まで,腹臥位での肘関節鏡について詳細に解説している.さらに,ポータル作製の方法と部位に関しては,1つの関節でありながら鏡視下手術的には3つのコンパートメントに分かれている肘関節について,それぞれのポータル作製法と鏡視方法について詳細に解説した.手術に関しては,基本的な術式である遊離体摘出術について述べた後,やや熟練を要する術式であるが,変形性関節症と外傷性肘関節拘縮に対する鏡視下授動術について解説していただいた.前者は主として骨性の可動域制限であるのに対し,後者は関節包の肥厚や瘢痕形成による軟部組織による関節可動域制限である.本書の内容は写真,図を多用し,肘関節鏡視下手術についてのポイントが満載で非常にわかりやすくできている.ただ,本書では述べていないが,肘関節疾患においても機能診断は極めて重要である.特に,アスリートにおける肘関節障害は,手術適応を考えるうえで肩甲帯を含めた機能診断と理学療法が不可欠で,局所所見のみですぐ手術とは通常ならない.本章で肘関節鏡手術の基本をマスターするとともに,肘関節疾患治療においても重要な外来診療と機能診断を併せて学ぶことをお勧めする.第2章 肩関節鏡視下手術第3章 肘関節鏡視下手術

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