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8はじめに 医療用・手術用ロボットの開発は1980年代から開始され、PUMA200を用いたCTガイド下脳腫瘍生検から始まった。1989年腹腔鏡手術での内視鏡操作を行うロボットであるAutomated Endoscopic System for Optical Positioning Robotic System(AESOP)、ZEUSが開発された。2001年にda Vinci surgical system(Intuitive Surgical社)がFDA(アメリカ食品医薬品局)から承認を受け、2008年にda Vinci Sが、また翌2009年にはda Vinci Siが承認された。さらに2014年にはda Vinci Xiが承認され、2018年4月にda Vinci Xが薬事承認された。 婦人科疾患に関しては2005年にFDAで認可が下り、2005年にReynoldsらにより初めて婦人科悪性腫瘍疾患に対するロボット手術が報告され1)、現在に至る。 SGO(米国婦人科腫瘍学会)の調査では、米国の婦人科腫瘍医のロボット手術の経験率は、2007年の時点で27%であったのに対し、2012年には97%とほとんどの婦人科腫瘍医が経験している。いずれ日本産科婦人科学会でアンケートを数年後に行った場合、同じ程度の経験になるのではないかと筆者は考える。 わが国では2009年11月に厚生労働省からda Vinci Sが医療機器として承認され、前立腺癌に対する健康保険適応が2012年4月に認可された。2012年10月には後継機種であるda Vinci Siも薬事承認され、その後より急速に普及した。da Vinci surgical systemの台数は現在、米国に次ぐ世界第2位の保有国である。婦人科においては、東京医科大学・井坂惠一先生が開始され、近年急速に進み、今や婦人科疾患に対するロボット手術は、世界で有数の手術件数を誇る。ロボット手術は、コンピューター制御下に鉗子を操作するため手ブレがなく、術者の思った通り自由に曲がる多関節をもつ。また、三次元かつ10倍の拡大視野で手術を行うことができるため、繊細な操作が可能である。腹腔鏡手術より、手技習得が早く、開腹手術より、出血量は少なく、入院期間も短い。ロボット手術は多数のメリットがあり、わが国でも、良性疾患で保険適用されたため、今後ますます普及していくと考えられる。最大限に長所を引き出し、安全に手術を行うためには、事前の準備が重要であることは言うまでもない。本章では、初回症例を行うまでの準備、実施基準、トレーニング、教育、その後の運用について三重大学での取り組みを交えて概説する。Ⅰライセンス取得までの流れ(図1) ロボット手術を行うためには、ライセンス取得が必要である。現在のところ、術者はIntuitive surgical社が提供するda Vinci surgical systemに対する適切な教育プログラムを受講しなければならない。また、ラーニングカーブ短縮のため、最初の10例を施行するまでda Vinciチームのメンバー(外科医2名、看護師2名、臨床工学技士1名の最大5名まで)の

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