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12「超入門」眼科手術基本術式51 改訂版適応 霰粒腫とは,マイボーム腺の貯留囊胞に引き続いて起こる慢性炎症性肉芽腫である.臨床の現場では,眼瞼のしこり(図1)と認識されている.何らかの原因でマイボーム腺の導管が梗塞することにより貯留囊胞が形成され,貯留した脂質を処理しようとする反応(monocyte-macrophage系:血液中の単球が遊走し,マクロファージとなって脂質を処理しようとする.ただしマクロファージのみでは貪食が困難な場合には,しばしば融合し巨細胞を形成して,脂質を処理する.)により脂肪肉芽腫が生じる.つまりマイボーム腺の囊胞状構造の内容物である肉芽腫が霰粒腫である.しかし現実には純粋にゲル状の肉芽腫だけでなく,急性炎症所見も伴うことも多く,好中球もしばしばみられる. 貯留した脂質はしばしば眼瞼の前葉に浸み出したりして,そこにも発赤や肉芽腫を形成することもある.また,結膜を破ってキノコ状に肉芽腫を形成することもある(pyogenic granuloma). 有病率は不明であるが,一般眼科外来で瞼が腫れたという場合はまず霰粒腫であり,当院では毎日複数の患者に遭遇している.通常,しこりの触知の他,周囲への炎症による充血や浮腫以外の自覚症状は少なく,少し重い感じや違和感くらいのことが多い. 霰粒腫は慢性炎症であるため,いずれは自然治癒する傾向があるものの,吸収されるまでにかなりの長期間を要することもよくある1).月単位から時には年単位の時間を要するため,安易な説明ではトラブルとなることもあるので注意する. 経過観察をしても自然吸収が期待できない場合や,視機能に影響が出そうである場合には手術による摘出を考慮する.実際はきっちりした手術適応の線引きが難しいので,患者とよく話をしてから決定する. 当院では,しこりの大きさが5mmを超える場合や,前葉の傷害が強い場合,小児例では惹起される乱視による弱視などのリスクがある場合に手術による摘出を勧めている.治療の流れ 霰粒腫として手術を決定する前に,麦粒腫との鑑別を要することもある.霰粒腫であればみられる,瞼板に生じているしこり(触診は大事)(図1,2)や,瞼板結膜のしこりに一致する軽い充血などの炎症所見(図3)があるかを観察するが,しこりがはっきりせず麦粒腫と鑑別が困難な場合には,抗菌薬の点眼や内服を処方し,数日間様子をみてみる.また浮腫が前葉にある場合にはステロイドの点眼・軟膏の塗布なども行ってみる.浮腫が引くと,しこりがはっきり触知されるようになることも多い. その他の手術による摘出以外にも報告されている治療法があるので,紹介しておく.ただし施行するかどうかの明確な基準はない.●温罨法2) マイボーム腺の梗塞の原因が,脂質が固まることである場合,温めると脂質が溶解する可能性がある.その結果,導管内の脂質が排泄されるようになり治癒すると考えられる.早期の霰粒腫には効果があるかもしれない.●ステロイド局所注射2) トリアムシノロン・アセトニドを囊胞状構造内に注入すると,脂質貯留による肉芽腫性炎症が治まり,脂質の貯留のみになると考えられる.ただし3カ月ほど1章眼瞼1霰粒腫摘出術 霰粒腫   貯留囊胞   肉芽腫 Key word

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