1章眼瞼1霰粒腫摘出術13「超入門」眼科手術基本術式51 改訂版経過し,薬の効果が切れてくると再発の可能性がある1).手術の手順 準備するもの:局所麻酔,ガーゼ,バイポーラー,ガーゼ,MQAⓇ,角板,挟瞼器(小・中・大),尖刃刀(11番),円刃刀(15番),眼科剪刀,鋭匙,有鉤鑷子,スプリング剪刀,持針器,7-0ナイロンⓇ.小児例では全身麻酔も.1経皮膚法 すべての霰粒腫で適応できるが,特に多房性の例や前葉へ傷害が及ぶ例では有用である.●①麻酔 上眼瞼でも下眼瞼でもまず眼瞼を反転して,円蓋部結膜下へ1%エピネフリン添加キシロカインⓇを,27G程度の針で注射する(図4).続いて霰粒腫付近の皮下へも注射する(図5).なお,初心者は角板を助手に持たせて,眼球を保護しながら麻酔をする.●②摘出術 挟瞼器を付け(図6),霰粒腫直上の皮膚を,重瞼線を考慮しながら瞼縁と平行に円刃刀(フェザーメスでもよい)で切開する(図7).眼科剪刀で眼輪筋を分け,霰粒腫の前壁(正確には貯留囊胞状構造の前壁である.もともとは瞼板の前壁であった)を露出する(図8). 少し奥へ展開すると,霰粒腫前壁と正常瞼板の境界がみられる.そこから囊胞内へ入ると内容物である肉芽腫がみられる(図9)が,バリエーションが大きく,粥状のものがみられることもある.内容物である肉芽 図1 0:00 術直前の外観下方が術者側.症例1:53歳の男性,わずかな充血を伴うが,前葉に傷害のみられない左上眼瞼の霰粒腫例(図1〜14).経皮膚法.本症例のビデオはノーカットのものを用意した.なお図の説明の数字は,ビデオの分:秒数であるのでビデオでも確認されたい. 図2 0:08 切開予定線のデザインしこりの大きさもマーキングしている. 図3 0:12 瞼板結膜の外観霰粒腫に一致して,輪状の充血を認める. 図4 0:26 円蓋部結膜下へ局所麻酔
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