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15難症例への対処 1 硬い核・成熟白内障の克服1章な前房深度を保ちつつ,トリパンブルーなどの染色物質を使い,前囊染色後に小さめのCCCを行った後,皮質吸引を行い(図9),さらにCCCを拡大しPEAを行うのが一般的である(図10,11).眼内レンズ(intraocular lens;IOL)挿入可能なCCCであれば,IOL挿入後にもう一度CCCを大きくすることで,前囊の収縮を押さえることが可能である(図12). しかし,水晶体の膨化が強い場合は,CCCが思ったより素早く周辺に流れる場合も散見される(図13).この場合ワンピースIOLの挿入は,術後囊外へのIOLの脱出も懸念されるので,3ピースを予備に用意しておくべきである. また,膨化が強い場合は,グリセオールなどの高張浸透圧輸液や,圧迫眼帯を事前に行い,眼球内圧を下げておくと,CCCがより容易になるケースもある.文 献1)佐藤正樹ほか.2010年日本白内障屈折矯正手術学会会員アンケート.IOL&RS.25,2011,563-84.2)ArshinoffSA.Dispersive-cohesiveviscoelasticsoftshelltechnique.JCataractRefractSurg.25,1999,167-73.3)ArshinoffSA.UsingBSSwithviscoadaptivesintheulti-matesoft-shelltechnique.JCataractRefractSurg.28,2002,1509-14.図9 小さなCCCの後I/Aにて皮質を吸引する図11 小さなCCCの後PEAを行う図10 皮質をある程度吸引してから,CCCを拡大する図12 IOL挿入後にCCCをさらに広げる図13 矢印の部分はCCCが水晶体外側に流れている

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