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3監修にあたって 白内障手術は,手術手技の確立や技術進歩により安定した手術が行えるようになったため,わが国の超高齢化率の上昇とともに手術件数は増加の一途をたどっています.眼科手術は数々あれど,眼科手術の基本手技を学べる手術は白内障手術だけです.そのため,眼科専門医取得前の初級者から,日常診療で数多く執刀する独り立ちした中級者,難症例や合併症のトラブルシューティングを担う上級者と,幅広い術者がさまざまなレベルで対応しているのが実情だと思います. 「眼科グラフィック」は2012年に「『視る』からはじまる眼科臨床専門誌」をコンセプトに発刊され,検査や診療の情報がカラーイラストや動画視聴により分かりやすいと好評です.編集主幹の一人である大鹿哲郎先生とともに,私も編集委員として白内障手術関連のプランナーを務めさせていただいています.トラブル症例への対応はバリエーションが多いため,原稿依頼はこの道の経験が豊富で手術手技教育に定評のある方々にお願いしてきました.その玉稿の中から,今回は「スゴ技」と称し,特に中級者が難症例を執刀するときのアドバイスとして有用なもの,また術中遭遇した合併症に対する対処法としてぜひとも知っておいたほうがよいもの,頻度は多くないが上級者がトラブル症例を手掛けるときに先達の優れた方法を学んでおくと心強くなれるものを選りすぐり,一冊の本にまとめました.また近年の低侵襲小切開硝子体手術の普及から,最近は前眼部術者も硝子体手術執刀の機会が増えているため,核落下や眼内レンズ落下への対応も新たに加え充実させました. 手術に関するトラブルシューティングは,対処法や戦略方法の選択肢が多いかどうかが重要なポイントとなります.先達の技を視聴することで,術者としての引き出しを増やしておくことがレベルアップにつながるとともに,いざというときには患者さんの眼のみならず術者も守ってくれるのではないでしょうか.“Seeing is believing! (百聞は一見に如かず)”の価値があると思います.本書がぜひ,中・上級者の術者の方々のお役に立つことを心より願っています. 最後に,メディカ出版の池田信孝氏には深く御礼を申し上げます.2018年8月 監修者を代表して東京女子医科大学東医療センター眼科 教授須藤 史子

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