眼科グラフィック2019年別冊 11OOOOOOOOOOOOOOOOOOO1 網膜血管病変1章やELMが確認できない症例では網膜外層が障害されているので,治療により浮腫が消失してもあまり良好な視力は期待しがたい. 急性期のBRVOはしばしば漿液性網膜剝離を伴っている(図1,2).OCTを用いることで初めて検出されるような限局性の網膜剝離であることが多い.このような網膜剝離は必ず中心窩を含み,中心窩での丈が最も高い.また,形態的には中心窩で尖ったタイプと,丸いドーム状の網膜剝離があり,前者から後者に移行する例もある.CRVOでは中心窩下に限局した,非常に丈の高い網膜剝離を伴っていることが多い.BRVO,CRVOでは漿液性網膜剝離は急性期にしか認められず,慢性期になると消失することが多い. 急性期BRVOの出血は網膜内層の刷毛状出血が特徴である.急性期BRVOでは,しばしば出血はcystoid spaceや網膜下にも貯留していることがOCTによりわかる.中心窩の大きなcystoid space内の出血はニボーを形成していることが多い.一方,網膜下の出血は網膜剝離の中に見られることが多く,ニボーを形成していることもある(図4).また,網膜下出血は網膜視細胞外層の障害の原因となるため,中心窩下に貯留した出血は視力予後不良因子の一つとして注意すべき所見である. BRVOは時に,鼻側など血管アーケード外に発図1 網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫A:急性期の黄斑浮腫.中心窩のcystoidspaceはMüllercellconeの隔壁を伴っている.また,中心窩下には漿液性網膜剝離(矢印)を伴っている.B:陳旧性の黄斑浮腫.隔壁は消失し,大きな楕円体のcystoidspaceが認められるようになる.漿液性網膜剝離は消失している.C:cystoidmaculardegeneration.網膜の細胞自体が減少し,cystoidspaceは長方形に近い形になっている.ABC
元のページ ../index.html#11