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12 眼科グラフィック2019年別冊 症することがある.このようなBRVOは硝子体出血を起こさないかぎり視機能には大きな影響を与えないことが多い.しかし,時に,中心窩下の漿液性網膜剝離が視機能障害を生じさせることがある.後極部の網膜剝離は中心窩を含み,網膜外層の肥厚を伴った症例が多い.この現象は,BRVO領域の血管からの漏出により,外網状層を中心に網膜浮腫が生じ,黄斑浮腫が中心窩近傍まで伝わると,Müller cell coneの作用により中心窩の網膜外層に牽引が生じるため網膜剝離が生じると考えられる(図5). 日常診療でのOCTの撮影の方法としては中心窩を通るアベレイジングを行った縦横のスキャンで十分である.BRVOでは中心窩に病変が及んでいないこともあるので,縦のラスタースキャンも有用である.また,中心窩のcystoid spaceが大きいと,中心窩の中心の同定が難しいことがある.中心窩には網膜内層が存在しないので,cystoid spaceの内縁が最も薄いスキャンを探すことになる.図2 網膜虚血が強い網膜静脈閉塞症A:BRVO.B:CRVO.網膜出血は多くないが,網膜内層は高反射を示し,網膜外層での反射が減弱している.中心窩下には漿液性網膜剝離(矢印)を伴っている.AB図3 視力良好な囊胞様黄斑浮腫中心窩下にcystoidspaceを認めるが,その下のIS/OSやELM(矢印)が確認でき、中心窩視細胞外層は障害されていないことがわかる.視力は1.2である.

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