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3監修にあたって OCT(光干渉断層計)は1980年代半ばに研究が始まり,1990年に当時山形大学教授の丹野直弘先生が世界初の特許を出願した,日本になじみの深い検査機器です.OCTの登場によって,加齢黄斑変性をはじめとする疾患概念が大きく変わりました.臨床現場でも爆発的に導入が広がり,今や個人開業医から大学病院に至るまで,OCTなしでは標準的な眼科診療ができないと言っても過言ではないレベルに来ていると思います.そして,約5年前に新しいアルゴリズムで血管造影ができるOCTA(OCT Angiography)が登場しました. しかし,いかにOCTが進化しようとも,画像は画像であって,診断に用いるためには医師がそれを読影しなければなりません.どう読んで,どう判断するか,皆さん悩まれているのではないでしょうか? 私自身も専門外は自信がありません.網膜を専門としていても,網膜血管をターゲットとして見ている先生と網膜下の病変を主に専門とする先生はそれぞれにこだわりがあり,注目する点が違ってきます. そこで本書では,「どこに注目して見たらいいのか」,そのためには「どのように撮影したらいいのか」という基本から,診療への応用の方法,また,似ているが異なる紛らわしい疾患の鑑別法,さらには機種による違いなど,皆さんが知りたいところをエキスパートの執筆陣が痒い所に手が届く解説をしています. 本書は,「『視る』からはじまる眼科臨床専門誌」のコンセプトで2012年の創刊以来6年以上にわたり発刊されている『眼科グラフィック』でこれまでに取り上げたOCT・OCTAの特集から,“スゴ技”と称して,臨床に役立つものを選りすぐりました.パッと見て分かることを重視していますので,3章にはOCT・OCTAアトラスを設けました.前眼部,緑内障から網膜に至るまで各種疾患のOCT・OCTA画像を掲載し,簡単な解説を付けましたので,この病気かなと疑ったときなどに逆引きで確認することもできます. 本書を1冊,診察室に置いておけば,皆様の日常診療の大いなる助けになること請け合いです.2019年3月 監修者を代表して愛知医科大学 眼科学講座 教授瓶井資弘

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