眼科グラフィック2020年別冊 13緑内障の検査 1 眼圧検査1章的に使用した症例は,前眼部に特有の変化を来し,瞼板が固くなっている症例では,眼圧測定が困難なことがある.この場合,眼球に接する方向に挙上を行うと開瞼が十分に得られず(図2A),眼球を圧迫することが多いため,手前に持ち上げるように上眼瞼を挙上する(図2B).この際に伸長した睫毛を牽引して挙上を行ってもよい(図2C).上眼瞼溝深化を認める症例では,圧平プリズムと上眼瞼を挙上する検者の指の間隔が,特に左眼で狭くなることから,左手を被検者の耳側から眼瞼を操作できる位置に持っていき,眼瞼を操作する(図3)か,左手による眼瞼操作を行う.どうしても開瞼が得られない場合は,測定に必要とされる開瞼幅が狭い反跳式眼圧計で,眼圧評価を行ってもよい.5. 加圧ドラムの回転が速すぎると,角膜の応力緩和が起こっていない状態で測定するため,眼圧測定値が高く示される.一方で角膜に圧平プリズムを長く接触することや,短時間に頻回の圧平を行うと,角膜の流動変化やトノメトリー効果(眼球マッサージ効果)が起こり,眼圧測定値が低く示される.6. 半円の輪の幅は半円の直径の約1/10である,0.2~0.3mmで測定を行う必要がある(図4A).涙液が過剰な場合(図4B)は,幅が広くなり,眼圧を高く計測されるため,圧平プリズムの先端の涙液と,結膜囊の過剰な涙液を拭き取って測定をやり直す.また,涙液が少ない場合や染色が不十分な際(図4C)に,幅が狭くなり,眼圧が低く計測されるため,図2 開瞼困難例の開瞼操作A:上方への開瞼操作.十分な開瞼が得られていない.B:手前方向の開瞼操作.十分な開瞼が得られている.C:睫毛を牽引する開瞼操作.十分な開瞼が得られている.ABC図3 上眼瞼溝深化症例の上眼瞼挙上操作A:鼻側からの上眼瞼の挙上操作.圧平プリズムと操作が干渉する.B:耳側からの上眼瞼の挙上操作.圧平プリズムと干渉せず操作が可能.AB
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