11腎細胞がん第1章 1(表1)。 進行性腎がんの治療では、集学的治療を行ったとしても完治することは稀であることから、多くの患者は上記の複数の治療薬による逐次治療を受けることとなります。治療法の選択にあたっては、年齢、合併症、病理組織型、リスク分類、転移部位などが考慮されます。 一般的にIMDCリスク分類(表2)1)に基づいて治療方針が決定されます。IMDC(international metastatic renal cell carcinoma database consortium)リスク分類とは2009年にHengらが提唱したリスク分類であり、一次治療として分子標的治療を受けた転移性腎がん患者の予後を予測することが可能です。Karnofsky performance status、カルシウム、ヘモグロビンなど6つの項目から構成されており、当てはまる項目数に応じてfavorable risk(低リスク)群、intermediate risk(中間リスク)群、poor risk(高リスク)群に分類されます。日本泌尿器科学会の『腎癌診療ガイドライン』では、この分類に従って推奨治療薬が紹介されています2)(表3)。治療方針表2 IMDCリスク分類(文献1より一部改変)prognostic factorsKarnofsky performance status<80%診断から治療開始まで1年未満ヘモグロビン値<施設基準値下限補正カルシウム値>施設基準値上限好中球数>施設基準値上限血小板数>施設基準値上限リスク分類Favorable risk群=低リスク群(予後不良因子なし)Intermediate risk群=中間リスク群(予後不良因子1~2個)Poor risk群=高リスク群(予後不良因子3~6個)Hengらは、スニチニブ、ソラフェニブ、ベバシズマブの3つのVEGFR-TKIで治療を受けた645人における臨床所見と予後の関連を調査した。この分類では表に示す6つの予後因子を用い、患者をfavorable risk(低リスク)群、intermediate risk(中間リスク)群、poor risk(高リスク)群の3群に分類する。
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