8206206疼痛時の薬物療法 尿路結石による疼痛の根本的な治療は、尿路の閉塞を解除することです。しかし、その疼痛は激痛であり、まずは薬物療法による疼痛緩和を迅速に行う必要があります。第一選択薬としては、ロキソプロフェン(ロキソニンⓇ)やジクロフェナク(ボルタレンⓇ)などの非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal antiinflammatory drugs:NSAIDs)が挙げられます2)。第二選択薬として、オピオイド受容体作動薬に分類される非麻薬性の中枢性鎮痛薬であるペンタゾシン(ソセゴンⓇ)が用いられます3)。また、ブチルスコポラミン(ブスコパンⓇ)やチキジウム(チアトンⓇ)、芍しゃく薬やく甘かん草ぞう湯とう(ツムラ表1 主要薬剤分類鎮痛薬鎮痙薬排石促進薬結石再発予防薬商品名ロキソニンⓇチアトンⓇウロカルンⓇフルイトランⓇウラリットⓇマグミットⓇザイロリックⓇ成分名ロキソプロフェンチキジウムウラジロガシエキストリクロルメチアジドクエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム酸化マグネシウムアロプリノール写真(第一三共株式会社)(マイランEPD合同会社)(日本新薬株式会社)(塩野義製薬株式会社)(日本ケミファ株式会社)(協和化学工業株式会社)(グラクソ・スミスクライン株式会社)主な効能各種疼痛消化器疾患や尿路結石の鎮痙尿路結石の排石促進利尿による降圧作用酸性尿の改善制酸作用や下剤尿酸生合成の抑制主な用法疼痛時1日3回1日3回1日1~2回1日3回1日1~3回1日2~3回主な分量1錠(60mg)/回1錠(10mg)/回2錠(225mg)/回1錠(1mg)/回2錠/回1錠(330mg)/回1錠(100mg)/回主な副作用腎障害、消化管出血、中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群肝障害胃部不快貧血、電解質異常高カリウム血症高マグネシウム血症中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群主な禁忌アスピリン喘息、妊娠末期、重篤な腎障害、消化性潰瘍緑内障、前立腺肥大、麻痺性イレウス無尿、低カリウム・低ナトリウム血症ヘキサミン使用例209尿路結石第4章1です。また、マグネシウム製薬の服用期間が長期にわたる場合は高マグネシウム血症を引き起こすことがあり、腎機能低下症例に対してはとくに注意が必要となります。 NSAIDsなどの薬剤による腎障害が起こった場合、倦怠感や尿量低下および身体の浮腫や体重増加が見られることがあります。また、ブチルスコポラミンやチキジウムは羞明を引き起こす可能性があり、自動車の運転などに注意が必要です。また、高マグネシウム血症による症状としては、軽症な場合には悪心や嘔吐が見られることがあり、重篤な場合には不整脈を生じることがあります。患者さんからこれらの症状の訴えがあった場合は、原因となる薬剤を同定して減量あるいは休薬しなければいけません。 外来で看護師は、処方薬の服薬指導だけでなく、疼痛が出現した場合の頓用薬の使用方法、さらには尿路感染合併による発熱時にはすぐに外来を受診する必要があることを説明しています。また、飲水の励行や、食事をバランスよく摂ることで再発を予防していくことの重要性を話しています。 入院で行う結石治療にはESWL(extracorporeal shockwave lithotripsy:体外衝撃波砕石術)・TUL(transurethral ureterolithotripsy:経尿道的尿管砕石術)・PNL(percutaneous nephrolithotripsy:経皮的腎砕石術)・ECIRS(endoscopic combined intra-renal surgery:経尿道、経皮的腎尿管砕石術)があります。病棟で看護師は、それらの術式のクリニカルパス(図3)を用いて説明を行っています。また、結石性腎盂腎炎で入院した患者さんは点滴(抗菌薬投与)、ステント留置、腎瘻造設などにより治療を行います。時には重症化し敗血症を起こし集中治療室での管理が必要となることもあります。感染が落ち着いた後、前述のような結石治療を行います。尿路結石症は繰り返し起こることが多いため、予防、早期発見・対処が必要となります。服薬指導・患者説明204-213_uroloyaku_HRS_F1.indd 2092020/03/19 18:50・本書の情報は2020年3月現在のものです。・本書で取り上げる商品の解説には、一部適応外(承認外)使用も含まれます。実際の使用にあたって、必ず個々の添付文書を参照し、その内容を十分に理解したうえでご使用ください。・本書の編集製作に際しては、最新の情報をふまえ、正確を期すように努めておりますが、医学・医療の進歩により、記載内容は変更されることがあります。その場合、従来の治療や薬剤の使用による不測の事故に対し、著者および当社は責を負いかねます。・製品写真は2020年3月時点で、各メーカーの医療関係者向けホームページなどより許可を得て掲載したものです。製品の外観は、メディケーションエラー減少の目的の改善などにより、つねに変更の可能性があります。また、製品は予告なく販売中止される可能性がありますので、各製品の使用時には最新の添付文書などをご確認ください。・本書では添付文書などに記載される「塩酸塩」「硫酸塩水和物」などの表記は、読みやすさの観点から基本的に省略しております。本書の特長Drag treatment in UrologyHowtoUse背景がクリーム色のところは、看護師もしくは薬剤師、もしくは共同で執筆しています(一部、医師がすべて執筆しているところもあります)。各主要薬剤は、巻末の「資料主要薬剤一覧表」にもまとめて掲載しています。医師が執筆しています。
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