15私たちは「修学旅行のしおり」も満足に作れないマンガの原稿を投稿して賞を獲り、その後も週刊連載を続けるために悪戦苦闘する若き漫画家の姿が描かれています。また、『NARUTO-ナルト-』(集英社)のコミック本のとある欄外ページには、「漫画家を目指す人は多いが、多くは口だけの『うそっこ漫画家』で、本当に真の漫画家を目指している人はほとんどいない」というようなことが痛烈に書かれていました。当時の私は、「原稿を直接持ち込むことが許されているマンガ業界では、持ち込みだらけで出版社がパンクしてしまうのではないか」と心配しましたが、出版社に持ち込みができるほどの完成された作品を描ける人はおそらくごくわずかで、そんな心配はないのかもしれません。もちろん、持ち込み自体はほんの入口に過ぎず、その後雑誌に掲載されるのは本当に大変なことなのだと推察します。 文学、マンガと見てきました。では、医学書の場合はどうでしょうか。自分がすでに有名であれば、出版社側から執筆の打診があるのかもしれません。しかし繰り返しますが、「そうでない無名の人はどうすればよいのか」というのがこの本の目的です。これから第一歩の踏み出し方について具体的にお話していきますが、その前にもう少しだけおつきあいください。私たちは「修学旅行のしおり」も満足に作れない 本項は「本の出版」以前のお話です。まず「出版」とは何か。本を制作、印刷して、販売、頒布することです。最終的に本は販売して、人に読んでもらわねばならないのですが、出版以前の問題として、本を制作、印刷するだけでも私たちにとってはとても大変です。たとえば、中学生の頃に修学旅行のしおりを作った時のことを思い出してみましょう。 中学生にもなると、修学旅行のしおりを自分たちで作っていたはずです。
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