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はじめに 「いつか本を書きたい!」と考えている医療者は少なくないと思います。私自身そのように思っていましたし、2017年4月に日本医事新報社から処女作である拙著『ER必携 救急外来 Tips 1121』を上梓した直後には、実際にたくさんの同僚から「どうやって本を書くきっかけを得たのか?」を尋ねられました。それも医者だけでなく、看護師、看護アシスタント、医療事務、薬剤師などさまざまな職種からです。 医療現場はスペシャリストの集まりです。多くの人間ドラマも生まれます。医療者として何年も働いていると、日々の外来業務、病棟業務、臨床や看護、仕事のノウハウ、キャリアアップのコツ、後輩の指導経験、先輩との上手なつきあい方、患者さんとの貴重な体験、心温まる思い出、予期せぬクレームなど、誰しも語り継ぎたいことのひとつやふたつはあるでしょう。機会があれば本としてまとめて発表したいと、皆さんも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。 卒後30年クラスのベテラン医療者や、その分野で成功を収め活躍している医師など、すでにある程度の地位に立っているのであれば、自然に出版依頼がやってくるのかもしれません。また、出版業界と何らかのコネがあれば、原稿執筆のチャンスが生まれるのかもしれません。しかし、そのような機会をどんなに待っていたとしても、無名の医療者のところにそういう話がやってくることは普通ありません。どんなに貴重な経験や面白いネタを持っていたとしても、「どうやって本を書くのか」がわからなければ、どこをどう進めばよいのかわからず、ただ途方に暮れるのみです。 地方病院の無名の医者に過ぎなかった自分がどのように単著を出版するチャンスをいただいたのか。自分自身の出版経験とともに、そこで学んだ

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