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3るはずです。でも、「アクセプトされるはずだ」と考えるのがそもそもの間違いで、「アクセプトされるように論文を仕向ける」、さらに言えば、「査読者に自分の論文をアクセプトさせる」ことが大切なのです。論文をアクセプトしてもらうのではなく、論文をアクセプトさせるのはある意味の交渉力です。それは、われわれ日本人が一番不得意とするところです。でも、どのように、だれと交渉するのでしょうか? 「どのように?」、その秘訣は相手の立場に立つことです。その相手とは、編集者と査読者です。編集者と査読者にあなたの仕事を十分に理解していただくように論文を書くことです。理解だけではなく、あなたの論文に好意を持ってもらうことが大切なのです。でも、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか? 「論文を英語で書いて投稿する」という行為のなかに、いかに交渉力を発揮できるのでしょうか? 3つ目は、プラグマティズムではありますが、われわれが英語らしい表現に触れていないということです。英語論文で使う英語らしい表現は、かなり限られています。それを効率よく知ることが大切です。 本書は、この3つの問題点、つまり1.英語で論文のストーリーを考えること、2.英語論文をアクセプトしていただくための交渉技術、3.英語らしい表現のための方策、を皆さん方にお伝えするものです。ここでは、英語論文における英文の書き方を伝授するだけでなく、英語論文をアクセプトに導くための秘訣をお教えいたします。ぜひ、大変な思いをしてよいサイエンスをした後は、本書からいくばくかのヒントをつかんでいただいて、日本のためによい論文を書いて、一流誌にアクセプトしてもらいましょう。 “On behalf of our journal, we are pleased to accept your above referenced manuscript for publication.”  この文章には大きなワクワク感があります。いくつになっても研究者はこの一文にしびれます。ぜひ、皆さんが、この文章をいただくまで頑張りましょう。2020年(令和2年) 3月  北風政史

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