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ジェンダー研究で何がわかっているのか? 自分自身を乗り越えるために、知っておいて損はない!第1章31リカの3万5千件以上の証券口座を分析した研究で、男性が女性より45%多く取引をしており、その結果、投資運用パフォーマンスを悪化させた。利益を追求して取引を増やしてしまい、かえって収益を引き下げてしまっていたということだ。この研究では、投資行動の男女差には、男性のオーバーコンフィデンス、つまり自信過剰が関係しているという結論だった 6)。 別の研究では、テストステロン濃度の違いが、職業選択や投資行動において、リスクをどれだけ取りたいかに影響していることがわかった。一般的に女性は男性よりもリスクを避ける傾向がある、という結論であった 7, 8)。この研究の示唆するところは、当たり前のようだが、生物学的性別が、行動に影響を及ぼすということである。 結果的に言えることは、以下である。 ● 女性は男性に比較して自信が持てない。 ● 女性は自己評価が客観評価より低く、男性は自己評価が客観評価より高い。 ● 女性は男性に比較して、リスクを取らない。 私には息子がいる。息子は数年前に受験をした。模試を受けたり、塾の先生からアドバイスを受けたりして、志望校を決める時期になった。私が不思議に思ったのは、息子は自分の成績に見合った学校よりも、はるかに上のランクの学校を受けると言って、受験校のレベルを下げようという先生の説得も、頑として聞かないのである。なぜかと問うと答えは「俺、いけるから」である。何という根拠のない自信だろう。言い換えると、彼はRisk Taker:「リスクを取る人」であり、当たればリターンは大きいとも根拠のない自信が大事

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