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32言える。 息子の言動は、まさに先の研究結果の通りである。自分の成績より高いレベルの志望校は見事に全部不合格で、自分の成績に見合った1校だけに合格した。 しかし、この「根拠のない自信」というのが、とても大事なものだと、私は気づかされたのである。女性は集団として見た場合、自己評価を客観評価よりも低く見積もる傾向があるため、学歴では「合格」、仕事では「昇進」のチャンスを逃しやすいし、もっと言うならばリスクを取らないので挑戦すらしない。挑戦すらしないので、道が開けるはずもない。男性は集団としてみた場合、逆に「根拠のない自信」があるためリスクを取る。リスクを取るということは挑戦するのである。挑戦さえすれば、道は開ける可能性がある。 女性はまた、困ったことに「人前で自己評価を控えめに言ってしまう」という傾向が強いことがわかっている 9, 10)。これを聞くと、「あっ」と思い当たる女性は多いのではないだろうか。多くの女性医師は、幼少期から学生時代に、このような経験をしていると思う。そして面白いことに、特に「プライドの高い男性」の前では(注:原著の表記は「プライドが高い」ではなく、「Vulnerable:弱い、傷つきやすい」男性と書かれている)、自己評価をさらに控えめに言うようだ。自分の成績が相手より優れているときに、相手のプライドを傷つけて、嫌われることを恐れるためである 11)。 医師社会は「プライドの高い(弱く、傷つきやすい)男性」「自己評価の高い男性」「自信に満ち溢れた男性」の巣窟のような状況である。このような男性に囲まれているのに、その人たちの前で自信のない態度を取り、自己評価を低く言ってしまう「癖」が出ているとしたら、どうだろう? そのような心理が働いているとは、男性医師には想像もつかないのである。 女性医師を「この人はダメだな」「任せられなさそうだな」と男性医師から思われても仕方ないとも言える。その「癖」を自ら意識して自ら修正

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