ジェンダー研究で何がわかっているのか? 自分自身を乗り越えるために、知っておいて損はない!第1章33しない限りは、役割を与えられる可能性は低いままである。つまり、やりがいのある職には就けないことになる。 女性は傾向として、ポストや役割を与えられるとき、無意識のうちに「私には荷が重い」とか「私の能力では無理」などと、男性の上司や同僚に言ってしまう。 そう言われると、普通の男性ならば「無理強いすると、パワーハラスメントになるし」と、「じゃあ、別の人に頼んでみるよ」と、すぐにオファーを引っ込めてしまうだろう。男性医師も暇ではない。わざわざ時間をかけて、女性医師を説得したりはしない。頼みやすい、後輩男性医師に役割を振る。役割を振られた後輩男性医師は、「自分に本当にその資格があるのだろうか」ということまでは考えないことが多い。「いいですよ」と安請け合いし、それがキャリアになっていく。「安請け合い」と言えば聞こえは悪いが、「ノーと言わない」「チャンスをつかむ」とも言えるのである。 女性医師は、「子持ち」になったタイミングで「当直できないから」と、わざわざ自分から「非常勤に格下げしてもらっていいです」などと申し出ることが多い。もともと、常勤だったのに、専門医資格も持っているのに、誰からも降格を求められていないのに、である。これも、「当直できない=無能」という固定観念のせいからか、「自分は、十分に働けていない」と自信がないからか、そのような「過剰に謙虚」な態度を取る。 しかし、よく考えてみよう。当直しなくなるのは、高齢男性医師も同様である。高齢でなくても「職位が上がったから」という理由で、40代後半にもなれば当直しなくなる男性医師が出てくる。しかし、このような男性医師が「当直できなくなったから、非常勤に格下げしてもらっていいです」などと言うだろうか? 絶対に言わない、100%ない。「職位が上がった。部長になった」からと、ふんぞり返っているのはよく見かけるが、そ無意識の態度が引き起こす大きな代償
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