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 2020年は新型コロナウイルス感染によって,医療・ヘルスケア領域において,この10年で最もデジタル化が進んだ年となった.オンライン診療の初診での解禁,治療用アプリの日本初の承認と保険適用,Apple Watchのアプリが日本で医療機器として承認されるなど,2030年に向けた「医療4.0」時代の到来を感じた1年だった. 2021年のデジタルヘルスの予測としては,2020年に起こった医療・ヘルスケア領域でのデジタル化に比べれば目新しい変化はないものの,2020年に進んだデジタル化がさらに広がっていき,デジタル化に対応した・対応しなかったという2極化が進むと考えている.このデジタルヘルスの本番は,2022年からもしくは2021年の秋以降となるのではないだろうか.2021年は,2030年への変化の前半戦である「2022年から2025年あたりの医療のデジタル変革」に対応する基盤が形成されていく1年となっていくはずだ. この章では,2021年のデジタルヘルス予測として,2025年あたりの医療を形成してくことが予想されるデジタルヘルス領域の7つのトレンドを紹介していく.2021年のデジタルヘルストレンド 1.オンライン診療の領域拡大 2.治療用アプリの増加とマネタイズ 3.PHR(Personal Health Record)の再興 4.AI医療機器:画像診断からAI診断へ 5.バーチャル治験の普及  6.薬局のDX 7.ウェアラブルデバイスの多様化1デジタルヘルスとは そもそも「デジタルヘルス」とはどのようなものだろうか.明確な定義はされていないため,本稿では勝手に,デジタルヘルスとは「デジタルテクノロジーを活用した医療・ヘルスケアサービス」と考えていく. 先端技術やICTなどのデジタルテクノロジーを活用することによって新しい価値を持った製品・サービスを創ることができ,現在やこれからの医療・ヘルスケアに求められる,医療の質や医療アクセスの向上ならびに業務の効率化に向けた新しいアプローチが考えられる.これは医療費の改善にもつながっていく.2デジタルへルスの分類 医療・ヘルスケア領域は「健康増進・予防」「診断・治療」「疾患管理・リハビリ」の3領域に分けられる.海外ではこれら3領域のすべてをヘルスケアと呼ぶことが多いが,日本では「健康増進・予防」の非医療領域のみをヘルスケアと呼び,「医療」と言うと「診断・治療」「疾患管理・リハビリ」を指すことが多い. 同様に,デジタルヘルスという用語はデジタルテクノロジーを使った医療・ヘルスケア領域全般を指すが,その中で特に医療領域を「デジタル医療(DTx:Digital Therapeutics)」,またさらにその中でも治療の領域を「デジタル治療」と呼ぶこともある.デジタル医療としてはAI医療機器などデジタルを活用した診断があり,デジタル治療は「治療用アプリ」が代表的だが,アプリに限らず,VRなども含んでいる.はじめにデジタルヘルス2021年のデジタルヘルスのトレンドはどうなるか?2021年のデジタルヘルス予測10

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