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9Ⅰ章解説編1高高高高高高高高高高高高高高高高高高高高高高高高高高高高次脳機能障害の原因疾患2 原因疾患としては外傷性脳損傷、脳血管障害、低酸素脳症、脳炎、脳腫瘍などがあります。その割合は報告によって異なり、モデル事業(対象年齢18〜65歳)では外傷性脳損傷が76%と最も多かったですが、全年齢対象では脳血管障害が最も多くなります1)。高次脳機能の種類と機能局在3記憶 記憶は大きく2つ、すなわち陳述記憶(過去の経験した出来事や、学習した知識などの記憶で、言葉や映像で意識上に再生表現できるもの)と手続記憶(繰り返しの訓練で得られた技能や習慣のことで、意識には上がってこないもの)に分けることができます。 陳述記憶はさらにエピソード記憶(過去の経験した出来事の記憶、思い出)と意味記憶(学習した知識などの記憶)に分けられます2)。エピソード記憶には2つの大脳辺縁系回路が関与しています。海馬を中心とした内側辺縁系回路(Papez〔パペツ〕回路)注1)はエピソード記憶の記銘と固定に関与し、扁桃体を中心とした腹外側辺縁系回路注2)は感情的価値判断に基づいた記憶に関与すると考えられています。その他、脳梁膨大部皮質、前部側頭葉や前頭前野もエピソード記憶に関与すると考えられています3)。意味記憶はエピソード記憶と共通のシステムで行われますが、辺縁系よりも新皮質の関与がより大きいと考えられています3)。 手続記憶には大脳基底核、小脳、前頭前野などが関与する全く別のシステムによると考えられています2)。注1)Papez〔パペツ〕回路:海馬→脳弓→乳頭体→乳頭体視床路→視床前核→前視床脚→帯状回→海馬台→海馬注2)腹外側辺縁系回路:扁桃体→腹側扁桃体遠心路→視床背内側核→前視床脚→前脳基底部→扁桃体注意 注意は高次脳機能の土台のようなものです。注意に関与する部位は脳幹から大脳皮質の複数のネットワークシステムに存在します。また注意は左半球よりも右半球に優位であることが分かっています。脳幹網様体賦活系は覚醒、緊張性注意に関与し、視床投射系は選択性注意、集中性に関与すると考えられています。また前頭葉は随意的注意に関与します2,3)。遂行機能 遂行機能とは、自ら目標を設定し、計画を立て、実際の行動を効果的に行う能力で、記123

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