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009第1章入院しなくても改善する認知症だった私は、一も二もなく承諾しました。 こうして私は二〇〇四(平成十六)年四月から三年間、松沢病院の認知症精神科専門病棟を担当することになりました。なぜ、認知症に精神科医療が必要なのか もの忘れや判断力の低下などの認知機能障害がある認知症の人、そもそもなぜこうした認知症の人に精神科医療が必要なのでしょうか? 認知症というのは、「いったん正常に発達した知的機能が持続的に低下し、複数の認知障害があるために、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態」のことを言います。 私たちは、生まれたときには知的能力が低いのですが、家庭内で社会生活をして学校教育を受け、知的な能力が発達していきます。こうして発達した知的能力が何らかの原因で低下してしまい、もの忘れや判断力の低下などの認知機能障害があるために日常生活、社会生活に支障をきたすようになった状態が、認知症と呼ばれる状態なのです。 一方、最初から知的な能力が十分に発達しない人は、精神発達遅滞、行政用語で「知的障害」と呼ばれる状態です。 こうした認知症の状態になる原因は、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体
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