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3はじめにちゅうざん病院 副院長/金城大学 客員教授吉田 貞夫 本書の執筆依頼を受けたのは、3年近く前の2014年7月のことでした。団塊の世代が75歳以上となる2025年を目前に、地域包括ケアシステム実現への取組みが本格的になる、まさにそんな時期でした。 高齢者は知らず知らずのうちに低栄養が進行してしまうことが知られています。低栄養は、高齢者の日常生活動作(ADL)を低下させる大きな要因です。筆者は、こうした超高齢社会のさまざまな問題の解決に、栄養管理に携わる立場から貢献できないかと考えてきました。そのひとつが本書の中心的なテーマであるMNA®、高齢者の低栄養を早期から検出できるアセスメントツールです。高齢者の低栄養のリスクを早期に検出し、支援を行うことによって低栄養の進行を防ぎ、高齢者が残りの人生をいきいきと暮らすことができるようにする「護る栄養ケア」の必要性については、2010年ごろから全国各地での講演でお話しし、強いご支持をいただきました。本書は、このMNA®にもとづく「護る栄養ケア」を、介護職や一般の方々にご紹介させていただく絶好の機会だと思っております。 介護職や一般の方々が日々悩んでいるのは、食べてもらいたくても食べてもらえない、そんなときの対応ではないかと思います。本書は、最前線で活躍する医師、管理栄養士、看護師、言語聴覚士、歯科衛生士など多職種の先生方からの20のアドバイスを掲載しています。夜勤の合間などでも楽しく読んでいただけるように、マンガなども取り入れ、読みやすい内容を心がけました。 構想から3年、まさに紆余曲折を経て、ついにこの書籍が陽の目を見ます。本当に難産でした。高齢者に最後までしっかり食べてもらうための日々のケアに活かしていただければ幸いです。2017年5月

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