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図1 高齢者が食べられなくなったとき(文献3を改変)・無理して食べる・点滴を併用・低栄養・生命の危機・栄養状態が改善・食べる楽しみの回復・QOLの向上・家族の安心・食べる楽しみの喪失・倫理的問題・社会的問題経口摂取が困難・経腸栄養を行う(経鼻胃管、胃ろう)ほとんど食べられないと…経口摂取訓練を行うと…メリットデメリット【参考文献】1)Volkert D, et al. ESPEN guidelines on nutrition in dementia. Clin Nutr. 34(6):1052-73, 2015.2)吉田貞夫.その患者じつはフレイル?もしかしてサルコペニア?:認知症の摂食障害とフレイル・サルコペニア.ニュートリションケア.10(3),2017,292-6.3)吉田貞夫編.ナーシングMOOK65 静脈栄養・PEGから経口摂取へ.学研メディカル秀潤社、2011.が行われなければ、高齢者は食べる幸せを生涯失うことになってしまいます。実際、胃ろうによって栄養を摂取しながら、寝たきりの状態で生きながらえている高齢者が増加したことがわが国の社会の大きな問題と捉えられるようになりました。近年、できるだけ胃ろうに頼らず、あるいは、いったん胃ろうを造設しても、再び訓練をして、経口摂取、つまり、口から食べることによって栄養を摂取できる状態を維持することへのニーズが高まっています3)(図1)。わが国は、すでに超高齢社会に突入しています。2025年には、『団塊の世代』と呼ばれる世代が高齢者となり、高齢化がさらに深刻な状況を呈すると予測されています。それにともない、十分な食事がとれない高齢者も爆発的に増加すると考えられます。ケアを行う我々は、質的なニーズ、ケア対象者数の増加の両面に対応していかなければならないのです。ちょっと一言食べることは、楽しみであると同時に、生活のリズムやその人らしさを維持する上でも大切な役割があります。超高齢社会が進行すると、食べることが困難な高齢者も増加し、食べるためのケアのニーズはますます高まるはずです。8
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