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3はじめに我が国では、高齢者の4人に1人が認知症またはその予備群と言われています。認知症高齢者とともにより良く生きていくことが求められる時代が、すぐそこまで来ています。これからは医師だけでなく、薬剤師、看護師、介護関係者およびご家族のみなさんにとって「認知症の患者さんに処方される薬に対する正しい知識と理解」をすることが必要となります。その一助となればと思い本書を作成致しました。最近ではアルツハイマー型認知症だけでなく、レビー小体型認知症に対する治療薬も承認されています。また、認知症の原因療法に迫る新薬開発も日本、米国、欧州を中心に世界中で活発に行われています。さらには、アロマセラピー療法を筆頭にしたメディカルハーブやサプリメントによる認知症予防薬の研究も進んできています。本書ではこれらのホットな薬物情報に加え、薬の安全性(副作用)や認知症高齢者に多く使用される抗凝固薬(ワルファリン、ヘパリンなど)、抗血小板薬(低用量アスピリンなど)についても、私が製薬メーカー勤務時代に専門家や患者さんから多く寄せられた、身近な質問にお答えしました。この点が本書の最大の特徴になっています。認知症高齢者の多くはワルファリンの服薬やヘパリンの点滴、そして低用量アスピリンやクロピドグレル、リマプロスト、シロスタゾールなどの抗血小板薬を服用しています。また最近ではダビガトランなどの新しいタイプの経口抗凝固薬(NOAC)も発売され、ワルファリンに代わって使用され始めています。これらの抗血栓治療薬(抗凝固薬、抗血小板薬)について、今までどの本にも書かれていませんが、実は現場の方々が疑問に思っている質問に対してもできるだけ対応致しました。なかには循環器の専門医しか知りえない貴重な情報も含まれています。医療、介護の従事者だけでなく、患者さんのご家族にもわかりやすい内容となるように努力致しました。認知症サポーターの養成講座の教材または参考書に、そして医療・介護の日常業務における「認知症と薬の理解」のための入門書・教育・研修資材としてお役にたてれば幸いです。トクダ健康メディカル・代表 徳田正武

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