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1章感染対策の基礎知識10感染という言葉を聞くと、“怖いもの”という印象を受ける人がいるかもしれません。しかし、人から人へ細菌やウイルスが伝でん播ぱ(伝わり広がって行くこと)して感染が成立するには、自分と相手の健康状態や免疫の状態と、感染経路の問題があります。この基本的なことをよく理解していれば、それほど怖がる必要はありません。感染はどのようなときに成立するか一般的に、通常の衛生管理と栄養管理ができている健康な人は、日常生活で感染することはあまりないと思います。では、どうして風邪をひいたり、インフルエンザにかかってしまったりするのでしょうか? 病原体(細菌やウイルスなど)側と利用者・介護者側から見て考えられる3つのパターンを説明します。❶ 病原体には、病気を起こそうとする力(病原性)があり、それには病原体の毒力と菌やウイルスの量が関係しています。これらが人の免疫力よりも強くなった場合に、感染が成立すると考えられます。❷ 通常の病原体ではなく、なかには毒力が強いものもあります。たとえば、ノロウイルスは毒力が非常に強く、0.1gの便から100人を感染させる力を持つといわれています。この場合、おむつ交換や排泄介助、清掃後などに、適切な手洗いをしていないと、ノロウイルスが介護者の手を介して本人や周囲の環境に広がり、健康な人でも感染してしまいます。❸ 人の免疫力が非常に弱い場合、普段はなんともないような病原体に感染することもあります。これを日ひよりみ和見感染といいます。高齢者は免疫力が低下している場合が多いですが、病院や介護施設では、さらに免疫力が低下している入所者も多く、この日1感染のしくみ

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