T280580
10/14

10主任ケアマネジャーに求められるもの日本は今、世界に類のない超高齢社会となり、一人暮らしや老老介護、生活困窮や認知症など、複雑で多様な困難を抱える高齢者が増えています。社会全体で介護を支える介護保険制度の要として介護支援専門員(以下、ケアマネジャー)が配置され、2006(平成18)年には、そのケアマネジメントを支援する目的で、「主任介護支援専門員」(以下、主任ケアマネジャー)が創設されました。そのような中、地域包括ケア研究会*1は、地域包括ケアシステムの構成要素として、植木鉢の絵*2を示しました(図1-1)。この植木鉢は、地域で1つではなく、一人の利用者さんに対して1つ、つまり、一人ひとりのニーズに合わせて、オーダーメイドで作る植木鉢とされています。例えば、認知症で自分の気持ちが言葉にしにくい方の場合には、お皿の部分を大きくした植木鉢を作り、ご本人の言葉が周囲の人にも大切にされるような「自己選択・自己決定」をサポートする環境づくりが求められるでしょう。あるいは、高齢で足や腰が痛いけれども、「この土地でできるだけ最期まで暮らしたい」と言われる方の場合には、土の栄養分をしっかり整え、近隣者との声かけや支え合いを育むことが、ご本人の意向を支えることにつながっていくでしょう。このように、それぞれのニーズに合わせて固有の植木鉢を作っていくことが、ケアマネジャーの役割であり、必要な素ケアマネジメント支援がなぜ必要か1-1*1地域包括ケアの実現に向けた論点を整理するための有識者による研究会。厚生労働省の老人保健健康増進等事業として2008(平成20)年度にスタートし、以降も検討を継続。*2「植木鉢」の絵は、何度も変更されており、図1-1は、2016年3月公表の報告書で示された最新版。

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る