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13地域包括ケアシステムは何を目指しているのか?これまでだって 「なじみの関係の中でマイペース」 を目指してきた「なじみの関係」の中で「マイペースな生活」を目指すことは、何も地域包括ケアシステムが登場して初めて出てきた考え方ではありません。高齢者介護の取り組みの歴史は、その成果が十分であったかどうかはさておき、いかにマイペースな生活を実現するかを考えてきた歴史でもあります。例えば、病院を考えてみましょう。病院は、稀少な医療資源をできる限り多くの患者が利用できるように、そして患者の安全を確保するようにデザインされています。その分、患者の「マイペースな生活」は制限され、食事や消灯の時間が決められています。別途料金を払えば別ですが、普通は大部屋でプライバシー確保も限定的です。そして、友人などなじみの関係者の面会も制限がつくのが一般的です。ある意味、日常やマイペースの対極、「非日常」の場です。それでも患者が入院中にその不自由や非日常を受け入れているのは、頑張って治療に専念していればいずれ退院してなじみの関係の中でのマイペースな生活に戻れる、と期待しているからですし、「マイペースな生活に戻るためには、いま少し我慢が必要だな」と考えるからでしょう。社会的入院1970年代以降、日本では「老人病院」への長期入院が「社会的入院」として問題になりました。社会的入院の定義は様々ですが、おおむね、「医療的な必要性は低くなっているものの、家庭の介護環境などを背景

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