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3 新版に寄せて政策論としての地域包括ケアシステム論は、対象人数が多く、介護保険という大きな安定的財源のある高齢者ケア分野から始まりました(2003年度に厚生労働省社会・援護局長によって設けられた高齢者介護研究会)。2008年には、厚生労働省老健局長の肝いりによって、老人保健健康等事業の一環として地域包括ケア研究会がスタートしました。三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の皆様、とりわけ本書の編著者である岩名部長には、当初より的確な研究会運営と報告書とりまとめに至る各年の作業を支援いただいてきました。地域包括ケア研究会が示した最初の定義には、「地域の実情に応じて、高齢者が、可能な限り、住み慣れた圏域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、医療、介護、介護予防、住まい及び自立した日常生活の相互支援が包括的に確保される体制」と書かれています。上記研究会での議論が深まり、地域包括ケアシステムの構築が各地で進むにつれ、多様なサービスを統合的に考え、多職種協働で提供していく考え方は、障がい、児童ケア、困窮ケアなどでも大いに活用できると関係者の理解が深まっていきました。現在の地域包括ケア概念は、「日常生活圏域を単位として、何らかの支援を必要としている人々を含め、誰もが、望むなら、住

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