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4み慣れた地域の住みかにおいて、自らも主体的な地域生活の参加者として、尊厳を保ちつつ安心して暮らし続けられるための仕組み」と表せるような深化を遂げています。本書を通じ、そうした深化の現状を学ぶことができます。地域包括ケアシステムのもう一つの側面はまちづくりです。元気高齢者はもちろん、たとえ支援を必要とする方々でもいろいろな形でまちづくりに参加し、貢献する仕掛けが構築されてきました。本書でさまざまな事例が紹介されている通りです。ところで、これから本書を読もうとしておられる方々に宿題を一つ。近年、「居場所づくり」という言葉を聞く機会が増えました。閉じこもり状態になりがちな人が、地域社会に参加しやすくなるための工夫としての意義を持つことは間違いありません。ただし「居場所」では、定年退職者などの元気高齢者を、積極的な地域貢献活動に引き込むにはインパクトが弱いのではないでしょうか。むしろ、その人が社会人として培った専門能力を地域活動に活かす、新たな活躍の場を感じさせる魅力的な言葉が求められます。よい提案をお待ちします。 2020年1月埼玉県立大学理事長・慶應義塾大学名誉教授田中 滋

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