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PROFILEここがポイント!ここがポイント!ここがポイント! 1章●よりよいケアを目指した先にある「地域づくり」   9堀田聰子さん東京大学社会科学研究所特任准教授、ユトレヒト大学客員教授、国際医療福祉大学大学院教授を経て、慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科教授。専門はケア人材政策、人的資源管理。博士(国際公共政策博士)。現在、社会保障審議会介護給付費分科会及び福祉部会、地域包括ケア研究会、地域力強化検討会等において委員を務める。図2は、人生の終末に向けた身体機能低下の軌道を時間の経過とともに示したものです。急性期医療中心の時代は、脳卒中やがんに罹患して身体機能が大きく下がり、その後、死を迎えるという軌道でした。これに対して、医療が進歩したいま、脳卒中やがんは致命的な疾患ではなくなりました。多くの高齢者は、堀田さんの指摘のように、慢性疾患とともに生きています。図2の軌道を見ると、身体機能は緩やかな右肩下がりで、時折起きる肺炎などの疾患で少し “くぼみ”ができます。それが治癒すれば回復しますが、身体機能はやはり徐々に低下していきます。これを繰り返しながら、人は終末を迎えるようになりました。医療や介護の目標は、この軌道の傾きをいかに緩やかにするか、そして、“くぼみ”の発生をいかに抑止し、あるいは発生した “くぼみ”をいかに浅くするかに変わってきたのです。そしてもう一つ、支援観の変化も背景として見逃せないだろうと、堀田さんは言います。「『生活モデル』の概念が生まれ、社会的排除がフランスに始まり、欧州の社会政策の中心的概念となっていったの

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