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 1総論「いいお産」とはどういうことか………………………………15お産」達成のためには心身ともにリラックスして出産を迎えることが望ましく、支援者にはリラクセーションの工夫が求められる。 ①産前の情報提供  妊産婦の多くは、一般に出産児に対する不安感や出産時の苦痛に対する恐怖感から、精神的緊張状態が続いている。バースプランをツールとする医療者とのコミュニケーションの中で、自らのリスクを理解し、不安を減少させることが求められる5)。妊娠中の適切な情報提供を通して、出産に対する理解と自信を深め、母性意識が育まれる。そして、主体的な出産を目指す積極的姿勢が形成され、不安の解消と緊張の緩和に役立っている。また、父親の出産・育児への参加を勧める情報提供も、「妊産婦の力を引き出す支援」につながる。 ②産前のリラックス訓練  リラックス法、ストレッチ体操、ヨーガなどは、緊張の緩和に有効である。これは「不安→緊張→産痛増強→不安」というマイナスの連鎖に対し、リラクセーションが精神的にも肉体的にも緊張を除き、産痛の軽減と産道の弛緩・軟化を促し、順調な分娩経過をもたらすプラスの連鎖に結びつくからである6)。 ③ドゥーラ効果  ドゥーラとは、妊産婦やその家族を支援する、出産経験のある女性をいう。ドゥーラに付き添われた出産は、医学的処置の減少、分娩時間の短縮、産婦の満足度など心理面への効果が比較対照実験で実証されている7)。妊産婦が孤独な状態に放置される状況では不安と緊張が増大することから、日本の施設分娩では助産師がそばに寄り添い、心理的側面への支援をすることで、不安の解消と緊張の緩和に努めている。また、家族の付き添いや分娩立ち会いも、産婦に精神的安定をもたらす効果がある。 ④分娩室環境の工夫  分娩室の環境は、産婦の緊張を緩和するために、張りつめた手術室の雰囲気を避け、BGMなどの音響、色彩、照明、調度などにも気を配る必要がある。特に、比較的経過が長い分娩第1期は、産婦の好みに応じた自由な姿勢でゆったりとした気持ちで過ごすことができるような環境にすることが大切である。産痛を和らげる支援 産痛は従来「陣痛」といわれ、強い疼痛で分娩の進行に伴い増強する。産痛の受け止め方には個人差が大きく、一部の産婦にとっては恐怖となり、分娩の進行に悪影響を与えることがある。多くの産婦にとって、産痛の緩和を図ることは、お産の快適さにも影響を与える。また、適切な産痛緩和法による支援は、「女性の産む力」を引き出す効果がある2)。 ①多様な産痛緩和法  産痛を緩和する方法として、自由姿勢・歩行、温罨法、入浴、マッサージ、指圧、鍼、アロマセラピー、鎮痛薬投与、硬膜外麻酔などがある。呼吸法、ラマーズ法、ソフロロジー法8)などは、リラクセーションに

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