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………………………………12「いいお産」を考える妊産婦・赤ちゃんの視点と医療者の視点 二十世紀の終わり頃から世界的に医療の潮流に変化が見られ、「患者の視点に立つ患者主体の医療」「より質の高い医療」「より安全な医療」の方向性が示された1)。わが国においても、その特徴を表すインフォームドコンセント(IC)、エビデンスベイスドメディスン(EBM)、ナラティブベイスドメディスン(NBM)、リスクマネジメント(RM)などの用語と概念が普及し、日常の医療現場でよく耳にするようになっている。周産期医療においても、医師・助産師など医療者の意識と姿勢が大きく変化し、医療者主導の効率を重視した妊娠・分娩管理や新生児管理から、妊産婦と赤ちゃん中心の妊娠・出産・育児を支援する産科・新生児医療へと移行しつつある2)。 ものの見方、考え方は、目線や視点により異なる。他人をよく理解するためには、その人の視点に立って考えることが必要である。妊産婦と赤ちゃんをよく理解し、支援するには、妊産婦の声に耳を傾け、妊産婦の視点や赤ちゃんの視点に立って考えてみることが求められる。複数の視点に立って考えたのち、医療者の視点に戻り、妊産婦や赤ちゃんへの対応を見直すことが大切である。妊産婦の視点からみた「いいお産」 産む側からみた「いいお産」や「いい産科医療・ケア」の要素を、「いいお産の普及」を推進する研究報告3)を基に考えてみたい。①「お産の快適さ」では、「安全を前提」として、分娩方法や処置が主体的に選択でき、分娩時の行動に自由度が高く、リラックスできることが重視される。②「医療への信頼と安心」には、わかりやすい説明によるインフォームドコンセントと、気持ちに応え響くようなコミュニケーションとが必要である。③「納得できる満足度の高いお産」では、緊急時の素早い対応と説明、結果が悪いときの心情に配慮したタイミングよい説明、フォローアップケアによる継続性と個別的な対応が重視される。④「育児を行う力が生まれる」のは、産む側が主体的に取り組み、大切にされていると感じ、納得のいくお産ができ、快適と感じるときである。1「いいお産」とはどういうことか

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