T300660
9/12

 1総論「いいお産」とはどういうことか………………………………13医療者の視点からみた「いいお産」 次に、医療者からみた「いいお産」の要素を、「いいお産の普及」を推進する研究報告3)を基に考えてみたい。①「いいお産」とは、母子にとって優しい、バースプランを尊重した「安全で達成感のあるお産」であり、妊産婦と医療者の協働が必要である。②「いいお産」とは、「母子共に健やかであり、母子が尊重され、支援される分娩」である。③「医師と助産師の連携による継続したケア」が重要であり、育児につなげることが大切である。④安全のために必要な医療介入に対して、快適さを追求する視点からの誤解や偏見が生まれることが危惧されるが、「安全が最優先」である。⑤「いいお産」の要素となるガイドラインの項目も、医師・助産師不足の医療機関では実施困難なことがあり、「施設の対応能力を考慮」することが必要である。総合的にみた「いいお産」 妊産婦と医療者双方の見解を総合的にとらえると、「いいお産」とは「妊産婦自身が、その出産体験を肯定的にとらえられる出産」であり、「子育てや次の妊娠に対する前向きな取り組みにつながる出産」と定義される。「いいお産」にはいくつかの要素があり、要素に対応して医療者に求められるものも多彩である。また、各要素は互いに関係性を有し、重なり合うことも多い(表1-1)3)。 ①「安全な出産」  「母子共に健やかであること」は客観的結果である。医療者には、リスクの的確な評価と適切な対応が求められ、ハイレベルのチーム診療が必要である。また、出産施設には人的資源の確保と物的整備が求められる。表1-1  「いいお産」とは?妊産婦自身がその出産体験を肯定的にとらえられる出産→子育てや次の妊娠に対する前向きな取り組みにつながる出産「いいお産」の要素結果と評価医療者に求められるもの「安全な出産」 母子共に健やか客観的結果リスクの的確な評価と適切な対応ハイレベルのチーム診療「安心な出産」 不安、恐怖、心配の解消主観的評価信頼関係の構築、情報の共有納得できる十分な説明「快適な出産」 大切にされた実感 家庭的リラックス環境主観的評価主体性と個性の尊重、共感する心そばに寄り添う姿勢、思いやりのある態度家族立ち会い、楽な姿勢の工夫「満足な出産」 達成感、納得客観的結果と主観的評価自立支援、見守る姿勢(文献3を参考に作成)

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 9

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です