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 1総論産褥期に注意を要する病態………………………………13表1-3 partial HELLP(以下の1つ以上を満たすとき)溶 血間接ビリルビン、LDHが基準以上肝機能障害AST、LDHが基準以上血小板減少血小板<15万mm3その他ATⅢ活性<80%、ハプトグロブリン<25mg/dL産褥熱 分娩終了24時間以降、産褥10日以内に2日以上にわたり38℃以上の発熱が続く場合を産褥熱とする。原因はさまざまであるが、子宮内膜炎、乳腺炎、尿路感染、術後蜂窩織炎、血栓性静脈炎などが鑑別に挙がる。 1 子宮内膜炎  分娩後3〜5日に発症する産褥熱の原因として最も多い。原因菌は外陰部に常在する大腸菌、クレブシエラ、連鎖球菌、腸球菌、黄色ブドウ球菌、バクテロイデスが多い。適切な治療が行われなかった場合、感染は骨盤腔に広がり、子宮傍結合織炎、敗血症に至ることもある。・症状:発熱、下腹部痛、子宮の圧痛、悪臭のある悪露・リスク因子:長期破水、遷延分娩、複数回の頸管拡張、帝王切開、糖尿病・自己免疫疾患合併妊娠・検査:培養検査(子宮、血液)、超音波検査(子宮内の遺残物)・ 治療:抗菌薬投与(嫌気性菌の感染を考慮し、抗菌薬を選択)。例としてアンピシリン+ゲンタマイシン(経腟分娩後)、クリンダマイシン+ゲンタマイシン(帝王切開後)、重症例ではアンピシリン追加 2 乳腺炎  乳汁のうっ滞によって起こる乳腺の炎症が改善せず、細菌感染を起こしたもの。黄色ブドウ球菌が最も多く、MRSAによることもある。・症状:悪寒、発熱、乳房疼痛や腫脹、発赤・リスク因子:乳腺炎既往、乳頭の外傷・検査:乳房の観察・治療:乳房マッサージによる排乳、抗菌薬投与(例:ペニシリン系)、膿瘍穿刺、切開排膿 3 尿路感染(腎盂腎炎)  尿道から細菌が膀胱、腎臓に上行性感染して生じる。原因菌は大腸菌が最も多い。・症状:発熱、側腹部痛、背部痛・リスク因子:尿道バルーン留置、産後排尿障害のあるもの・検査:検尿、採血、培養検査(尿、血液)

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