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 1総論産褥期に注意を要する病態………………………………11起こす可能性があり、注意を要する。産後しばらくしてから出血を認める疾患として、von Willebrand病などの凝固因子異常があり、かつ妊娠前に診断されていない場合もあるため、晩期出血を認める際には、凝固因子の確認も必要である。退院後、出血量が増加し月経2日目以上の量になる、凝血塊が出る、といった場合には来院するよう説明しておく。・症状:血性悪露が持続する。子宮のサイズが産後日数に比して大きい・リスク因子:胎盤や卵膜遺残、子宮筋腫合併、多胎妊娠、羊水過多、巨大児妊娠・ 検査:子宮底の触診(正常変化より子宮のサイズが大きい)、経腟超音波検査(子宮内に胎盤や子宮内膜の遺残、血液の貯留)、血液検査(貧血、凝固異常)。出血多量で胎盤遺残を疑う場合にはMRI検査・ 治療:子宮底マッサージ、冷罨法、排尿、子宮収縮薬投与。出血多量で胎盤遺残を疑う場合には子宮内容除去術を考慮するが、子宮内容の搔爬によって逆に出血が増量する可能性がある。また、部分癒着胎盤では、子宮動脈塞栓術、単純子宮全摘術を必要とする場合もある産褥精神障害 正常範囲の変化であるマタニティブルーズ・産後うつ病・産褥精神病に大別される。 1 マタニティブルーズ  産後3〜10日の間に生じる一過性の抑うつ状態であり、30%程度の褥婦に起こる。・症状:涙もろい、気分の落ち込み、不眠、集中力の低下など・リスク因子:妊娠合併症のある症例、胎児疾患、新生児異常に伴う母児分離・スクリーニング検査:マタニティブルーズ日本版評価尺度によって8点以上で診断される・ 治療:自然軽快することが多く特に治療を必要としない。一過性病態であることを家族と本人へ説明し、母のサポート環境を整える。2週間以上持続する場合には産後うつ病への移行を考慮し、精神疾患の専門医の受診を考慮する 2 産後うつ病  分娩後1〜3か月以内に発症することが多く、5〜10%の褥婦に起こる。重症化すると回復まで1年以上かかることもある。産後うつによる自殺は、日本において妊産婦死亡統計には含まれず、正確な数の把握はされていないが、妊産婦死亡原因の上位を占める可能性が示唆されている。・ 症状:抑うつ状態、不安、焦燥感、不眠、育児に対する不安や児の発達や病気への過剰な心配、自責の念、重症の場合には自殺や心中、虐待死の可能性があり、将来的にも虐待との関連がある・リスク因子:精神疾患の既往、望まない妊娠、児の疾患、家族の支援がない・ スクリーニング検査:エジンバラ産後うつ病自己評価票(EPDS)にてスクリーニングを行い、9点以上で本疾患を疑い、必要に応じて精神科への受診を行う・ 治療:薬物治療(抗うつ薬、抗不安薬など)を行うとともに、家族・医療・行政が一体となった精神面の

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