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30てんかんの患者さんへてんかんのような慢性の病気では、長期にわたって薬を服用する必要があります。てんかんの患者さんが妊娠・出産を考えるときには服用する薬を整理したうえで計画的に妊娠することが勧められます。てんかん発作はその重症度から3段階に分類されています。リスクの低い発作は、発作中にも意識を失わず、痙けい攣れんも伴わないもの、からだの一部がぴくつく範囲のものをいいます。中等度の発作は、意識を失わずにからだの一部だけが痙攣する、また、全身が強くぴくつく発作、一時的に意識を失う発作をいい、リスクの高い発作は、強くて長い全身の痙攣発作をいいます。妊娠中にリスクの高い発作が起こると子宮筋も収縮するので、赤ちゃんは低酸素になるなど強いストレスにさらされるばかりか、お母さんも呼吸が一時的に止まるので低酸素になって、それらが母児の安全に大きく影響することになります。また、時に突然の発作に伴う意識消失で事故や窒息を起こし、母体自身が死亡する事例も報告されています。妊娠を考える女性のてんかん治療は、中等度以上の発作も極力防ぐことを目指して行われますが、抗てんかん薬は赤ちゃんに奇形を起こす確率を上昇させることが知られており**、妊娠を考える女性では、薬はなるべく単剤に、安全性の高い薬剤を使用する(バルプロ酸は極力避ける)、できるだけ少量にする、などの配慮が必要となります。てんかんなど慢性の疾患をお持ちの女性が妊娠した場合には自己判断でむやみに薬剤を中止することなく、担当医に相談し、必要な治療を継続することが重要になります。**抗てんかん薬には赤ちゃんに対する影響があり、妊娠14週までの時期に抗てんかん薬を服用している患者さんでは、児の形態異常発生率はおおよそ6%、服用していない患者さんでは3%、てんかんのない妊婦さんでは2%との報告があります。さらに、赤ちゃんに起こる異常の頻度で多いのが神経管閉鎖不全症という疾患で、一般集団での発生頻度は0.1%程度であるところ、バルプロ酸服用で1〜2%、カルバマゼピン(テグレトールⓇ)服用で0.5%と高値を示すことが報告されています。葉酸の服用により神経管閉鎖不全症の発症予防効果が期待されているため、妊娠前からの葉酸の服用が推奨されています。もちろん、葉酸の服用はすべての一般の妊婦さんにも推奨されています。

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